簿記3級の商品売買の論点では、発送費(諸掛)について勉強をします。
「発送費って言うくらいだから、費用に計上すればいいんじゃないの?簡単じゃん!」って思いがちですが、実は、パターンごとに仕訳のやり方が異なり結構ややこしいです。
そこでこの記事では、発送費の仕訳の根本の部分を解説して、発送費の仕訳の覚えやすくなるように解説をしていきます。
「発送費ってややこしい・・・」って感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
〜この記事でわかること〜
発送費の仕訳を覚える3つの手順を紹介!
この章から、簿記3級のややこしい発送費の仕訳、3つの手順をご紹介します。
慣れてくれば、このような手順をいちいち確認しなくても仕訳ができるようになりますが、最初のうちは上記の手順を1つ1つ意識してみてください。
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手順1:発送費4パターンを覚える
発送費の仕訳を覚える手順1は、発送費が関連してくる4つのパターンを覚えることです。具体的には下記の4つになります。
- 相手発送で自分負担のパターン(仕入)
- 相手発送で相手負担のパターン(仕入)
- 自分発送で自分負担のパターン(売上)
- 自分発送で相手負担のパターン(売上)
後の章で、上記の4パターンを1つずつ仕訳と共にご紹介していきます。
手順2:自社負担なのか相手負担なのか
発送費の仕訳を覚える手順2は、発送費が自社負担なのか相手負担なのかを確認することです。
どちらが発送費を負担するのかが重要で、自社負担なら『発送費=費用』なので費用として計上します。相手負担なら、相手が費用を負担するので、こちらは発送費の計上をする必要はありません。
「なぜ相手負担の場合に、発送費の仕訳を考えなければならないの?」って疑問に思った方もいるかもしれません。なぜなのかというと、「発送費を、一旦自社で負担する仕訳」が出題される可能性があるからです。
もし、相手負担の送料を一度自社負担で立替える場合は、「立替金」という勘定科目を使用して仕訳をする必要があります。(問題文によっては、掛け代金に含める場合もあるみたいです。)
手順3:【自社負担】発送費と仕入勘定どちらを使うのか
発送費の仕訳を覚える手順3は、発送費を発送費勘定と仕入勘定どちらで計上するのかを確認することです。
「発送費の仕訳の話をしているのに、なぜ仕入勘定が出てくるの?」って思われた方も多いと思います。実は、発送費の仕訳では、発送費勘定を使わずに仕入勘定に含めて仕訳をするパターンがあります。
なぜ、発送費を仕入勘定に含めて仕訳をするのでしょうか?
答えは、商品が来期に繰り越す可能性があるからです。
売上原価の計算で、今期に仕入れた商品が売れ残って、来期に繰り越す場合は『(期末)繰越商品』として資産に計上し、次期で『(期首)繰越商品』として仕入勘定に含めて売上原価を計算します。
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発送費は商品を購入することによりかかった費用ですので、今期に仕入れた商品は今期の費用として計上する。前期に仕入れた商品を今期に販売する場合は、今期の費用として計上するのが理想ですよね。
なので、今期仕入れの商品が来期に繰り越す場合は、次期の費用にすることになります。よって、発送費をあらかじめ仕入勘定に含めるという仕訳をすることになります。
簿記3級の発送費の仕訳をパターン別で解説!
この章からは、前章までに解説した内容を踏まえて、実際の発送費の仕訳をパターン別でご紹介していきます。
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- 相手発送で自分負担のパターン(仕入)
- 相手発送で相手負担のパターン(仕入)
- 自分発送で自分負担のパターン(売上)
- 自分発送で相手負担のパターン(売上)
発送費の理屈を覚えてしまえば、上記の表のパターンをいちいち暗記しなくても仕訳ができるようになりますよ!
簿記3級の発送費:相手発送で自分負担のパターン(仕入)
相手発送で自分負担のパターン(仕入)についての仕訳をご紹介します。先ほどご紹介しましたが、仕入をした時の発送費はどのように処理するのでしょうか?
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簿記3級の発送費:相手発送で相手負担のパターン(仕入)
相手発送で相手負担のパターン(仕入)についての仕訳をご紹介します。
相手発送で相手負担の場合は、商品を仕入れた時の仕訳「仕入3000 現金3000」の仕訳をするだけなので簡単です。
しかし、相手負担の送料を自社で立替える場合は注意が必要です。
この、送料を一旦「自社で立替える」という記載のある簡単な問題を出してみますので解いてみてください。
簿記3級の発送費:自分発送で自分負担のパターン(売上)
自分発送で自分負担のパターン(売上)についての仕訳をご紹介します。
商品を売り上げて、商品を発送する際の発送費は、発送費を費用に計上して仕訳をします。下記に簡単な仕訳の問題を提示します。
簿記3級の発送費:自分発送で相手負担のパターン(売上)
自分発送で相手負担のパターン(売上)についての仕訳をご紹介します。
こちらのパターンでは、特に難しい仕訳はありませんが、相手負担の発送費を一度、立て替えて支払う場合に注意が必要です。
(借方)現金5000 (貸方)売上5000
(借方)売掛金5000 (貸方)売上5000
(借方)立替金300 (貸方)現金300
簿記3級の発送費:まとめ
今回は、簿記3級で登場する発送費の仕訳方を解説しました。発送費は大きく4つのパターンで仕訳方が異なるややこしい論点なので、ここで一度まとめておきます。
- 相手発送で自分負担のパターン(仕入)
→繰越商品ができる可能性があるので仕訳勘定に発送費を含める - 相手発送で相手負担のパターン(仕入)
→立替金発生の可能性あり - 自分発送で自分負担のパターン(売上)
→普通に発送費勘定で仕訳をする - 自分発送で相手負担のパターン(売上)
→立替金発生の可能性あり
発送費はパターンによって仕訳のやり方が異なるためややこしいですが、「なぜ、このような仕訳をするのか?」という理由を押さえておくことで覚えやすくなります。
試験で出題されても解けるように、今回の記事で覚えていただければと思います。
キノ