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【簿記3級】経過勘定の仕訳とポイントを解説!

簿記3級、経過勘定

この記事では、簿記3級の中でも難しい論点である経過勘定を解説します。

簿記3級を勉強している方で、経過勘定を苦手としている方は多いのではないでしょうか?

経過勘定は、第二問の勘定記入の問題や第三問で出題される総合問題で頻繁に出題されるため、しっかりと得点できるようにしておきたい論点でもあります。

ただ経過勘定は、前期からの引き継ぎなど考えることが多いため、頭がこんがらがってしまう方も多いでしょう。

そこでこの記事では、経過勘定が少しでも得意になるように問題の解き方のポイントを解説します!

この記事を最後まで読んでいただければ、勘定記入の問題の理解度が上がり、問題も解きやすくなるはずです!

キノ

筆者が独学の時に使用していたテキスト&問題集も貼っておきますので参考にしてください!

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そもそも経過勘定とはなにか?

簿記の学習では、言葉の定義をしっかりと認識していることが重要です。そこでこの章では、経過勘定とな何か?ということを解説します。

経過勘定とは、決算整理仕訳で行う収益と費用の計上タイミングを調整するための会計処理のことです。

キノ

経過勘定は決算整理仕訳と期首再振替の時にだけ行う仕訳です。

例えば、1会計期間が『4月1日〜3月31日』で、9月1日に1年分の家賃を支払ったとします。

この時、×1年9月1日〜×2年3月31日分は今期分の費用ですが、×2年4月1日〜×2年8月31日分は来期の費用ですよね。

この今期と来期をまたいで費用と収益が発生してしまうと、正しい財務諸表が作れなくなってしまいます。

そこで、正しい財務諸表を作成するために、費用・収益のズレを調整する。この会計処理が経過勘定です。

経過勘定で使用する勘定科目は4つだけ!費用と収益に騙されないで!

経過勘定で使用する勘定科目をご紹介します。4つしか登場しませんので、このタイミングで覚えてしまいましょう!

キノ

簿記3級〜1級までずっと使用することになるので、覚えておいて損はしませんよ!
経過勘定
  • 未払費用
  • 未収収益
  • 前払費用
  • 前受収益

この4つは、すべて資産・負債の勘定科目です。理由は、次の期にまたぐ勘定科目だからです。

<b>経過勘定が全て資産・負債の理由</b>

費用・収益はP/L(損益計算書)の項目です。P/Lは、1年間の会社の成績を計測するためのものなので、次の期には0からカウントすることになります。(P/L科目は、次の期に持ち越せないということを意味します)

しかし、日々の取引の中で「費用を先払い」したり、「後払いで収益を回収」したりすることで、期をまたいでしまうこともあるでしょう。

そこで、費用・収益の項目を経過勘定として、資産・負債の勘定に変更して次の期に繰り越す処理が経過勘定なのです。

よって、経過勘定の項目は「資産・負債」のみということになります。

参考:経過勘定の解説
  • 未払費用:
    「まだ支払ってない費用」なので負債です。(支払う義務)
  • 未収収益:
    「まだ受け取っていない収益」なので資産です。(受け取る権利)
  • 前払費用:
    「前もって支払っている費用=既に支払っている費用」なので資産です。(支払う義務を果たしている)
  • 前受収益:
    「既に収益を受け取っている」状態なので負債です。(受け取る権利を使い切っている)

経過勘定科目を使った仕訳の基本形!

経過勘定科目4つの仕訳の基本形をご紹介します。具体的には下記の通りです。

経過勘定の仕訳例
  • 未払費用
    支払利息100/未払費用100
  • 未収収益
    未収収益100/受取利息100
  • 前払費用
    前払費用100/支払家賃100
  • 前受収益
    受取利息100/前受収益100

経過勘定は期首再振替が必須です。期首再振替は貸借を逆に書くだけですので省略します。

キノ

ホームポジションの覚え方は、「仕訳のコツ」の記事で詳しく解説しています!

繰延なのか見越なのかの判断が難しい!

簿記3級を学習している方が「経過勘定は難しい」と感じるポイントは、繰延なのか見越なのかを判断するのに手こずるところです。

「繰延と見越ってなに?」という方のために、繰延と見越について簡単に解説をします。

キノ

私の言葉で説明をするので、実際の定義とは異なります。
繰延

繰延:当期に実際に発生した費用や収益を次の期に繰り越すこと

  • 前払費用
  • 前受収益
見越

見越:当期に発生している未計上の費用や収益を、当期に受け取ったように計上すること

  • 未払費用
  • 未収収益

繰延と見越の判断は、下記のようにするとわかりやすいです。利息を例に考えてみます。

繰延に該当
  • 前払費用:1年間分の利息を先に支払った
  • 前受収益:1年間分の利息を先に受け取った
見越に該当
  • 未払費用:1年間分の利息を後で支払う
  • 未収収益:1年間分の利息を後で受け取る

「先」なのか「後」なのかを文章中から見極めることで繰延と見越の判断をすることができますよ。

MEMO

実際の問題で、「先払い・先に受け取った」しているという文言であれば「あ、先って書いてあるから、前払費用か前受収益を使うんだな!」というように判断することができます。

キノ

下記の記事で、最新版の経過勘定の解き方を解説していますので、参考にしていただきたいです!

経過勘定が発生する初年度の仕訳

経過勘定が発生する初年度の仕訳について解説をします。具体的には下記の例で解説します。

例:繰延

当社の会計期間は4月1〜3月31日である。当期の7月1日に事務所の賃貸契約をおこない、1年分の家賃120,000円を支払った。決算整理仕訳を行う。

 

<解説>

当期に新規賃貸契約を行い、その場で120,000円の1年分の家賃を支払っています。

先払いしているので、「繰延」ということです。

繰延ということは、経過勘定は「前払費用か前受収益」を使用するということです。

 

7月1日〜3月31日の期間が当期に発生する費用で、家賃を月割すると「1ヶ月で1万円」です。

  • 7月1日〜3月31日=9ヶ月×1万=9万円

9万円が当期の費用で、残りの3万円が次期に発生する費用です。

よって、仕訳をすると下記のようになります。

  • 7月1日 支払家賃120,000/現金120,000
  • 3月31日 前払費用30,000/支払家賃30,000

ちなみに、経過勘定は期首再振替をするので、

  • 支払家賃30,000/前払費用30,000

となります。

見越の例もあげておきます。今回は収益の例を出しますね。

例:見越

当社の会計期間は4月1〜3月31日である。当期の7月1日にA社に貸付金として100,000円を貸し出した。利息は年利3%。利払日は6月30日である。決算整理仕訳を行う。

 

<解説>

当期の7月1日に貸し付けています。利払日は6月30日の1回なので、利息は後払いということになります。

後払いということは見越なので、経過勘定は「未払費用か未収収益」で仕訳をすることになります。

貸付金が100,000円で、年利が3%。受取利息は、1年で3,000円発生します。

貸し付けたのが7月1日で決算が3月31日なので、9ヶ月分の利息がかかっているはずですよね。

しかし、利払日は翌年度の6月30日なので、まだ収益として計上されていない状態です。

なので、7月1日〜3月31日分の利息を当期に発生したよ、という記録を残す必要があります。これが経過勘定です。

仕訳にすると下記の通りです。

  • 未収収益2,250/受取利息2,250
    ※利息は発生しているけど、まだ受け取っていないよ!という仕訳

利息の計算は下記の通りです。

  • 100,000×3%=3,000円(利息1年分)
  • 3,000×9ヶ月÷12ヶ月=2,250円

期首再振替をすると・・・

  • 受取利息2,250/未収収益2,250

のようになります。

経過勘定が発生する翌年度以降の仕訳

経過勘定が前年度から発生している場合の仕訳について解説をします。

前年度から経過勘定が発生している場合は、期首再振替仕訳が発生するのでちょっとややこしく感じるかもしれません。

特に、第二問の勘定記入の時は間違えやすいので、前年度の仕訳を1から書くと良いでしょう。

ここで、簡単な例題で解説をしてみます。

毎年7月1日に、1年分の家賃12,000円を支払う。決算整理仕訳を行う。

 

<解答>

毎年支払っているので、前年度も同じく12,000円を支払っていると考えます。

「前年度」に下記のような仕訳をしているはずです。

  • 7月1日 支払家賃12,000/現金12,000
  • 3月31日 前払費用3,000/支払家賃3,000
    ※1年間分を先払いしている=前払している状態

「当期首」に、前年度から繰り越した支払家賃の期首再振替仕訳を行います。

  • 4月1日 支払家賃3,000/前払費用3,000

・当期分の家賃の支払いの仕訳を行います。

  • 7月1日 支払家賃12,000/現金12,000

・期末に、今期に払い過ぎている来期分の家賃の繰越の仕訳を行います。

  • 3月31日 前払費用3,000/支払家賃3,000

ここまでが、経過勘定の仕訳となります。

 

前年度の経過勘定分を考えなくてはいけないので頭がこんがらがってしまいますが、毎年同じ金額を支払っている場合はとても簡単です。

なぜなら、期末の繰越の仕訳も、期首再振替仕訳も同じ金額ですので、今期に支払った家賃分の仕訳だけ考えれば良いからです。

●前年

  • 7月1日 支払家賃12,000/現金12,000
  • 3月31日 前払費用3,000/支払家賃3,000

●今年

  • 4月1日 支払家賃3,000/前払費用3,000
  • 7月1日 支払家賃12,000/現金12,000
  • 3月31日 前払費用3,000/支払家賃3,000

色がついている場所は、全て同じ金額ですよね。

よって、7月1日の支払家賃の部分がP/L(損益計算書)に記載する金額となります。

▼支払家賃の金額の推移

4月1日支払家賃3,0007月1日支払家賃12,0003月31日支払家賃3,00012,000円

簿記3級の経過勘定の仕訳:まとめ

この記事では、簿記3級の経過勘定について解説をしました。

まとめ
  • 先払い→繰延→前払費用・前受収益
  • 後払い→見越→未払費用・未収収益

経過勘定は簿記3級試験の「第二問・第三問」で出題される重要な論点ですが、多くの受験生が苦手としている論点でもあります。

経過勘定の問題は、先払いなのか後払いなのかをしっかりと見極めることで、だいぶ解きやすくなりますよ。

この記事を読んだ後は、実際の経過勘定の問題を解いて腹落ちさせることが重要です。

キノ

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