貸倒引当金は、簿記3級の試験でもほぼ必ず出題される重要な論点です。
慣れてしまえばそこまで難しい仕訳はありませんが、ポイントをしっかりと把握していないと間違えやすい論点でもあります。
そこでこの記事では、貸倒引当金の仕訳について詳しく解説をしていきます。
キノ
〜この記事でわかること〜
貸倒引当金とは?
貸倒引当金とは、売掛金などの債権に対して、「もしかしたらお金を払ってもらえないかもしれない」というリスクをあらかじめ考えて、期末の債権残高に対して保険をかけるための会計処理のことです。
貸倒引当金の問題は、簿記3級の試験では第1問の仕訳と第3問の総合問題の決算整理仕訳がメインとなります。
計算自体はそこまで難しいものではないのでしっかりとマスターしてください。
貸倒引当金で使用する勘定科目を紹介!
この章では、貸倒引当金の論点で新たに登場する勘定科目をご紹介します。
- 貸倒引当金(資産のマイナス科目)
- 貸倒引当金繰入(費用)
- 償却債権取立益(収益)
貸倒引当金勘定は、評価勘定という資産のマイナス科目で、ホームポジションは貸方(右)です。似たような勘定科目に「減価償却累計額」があり、セットで覚えておくと良いでしょう。
キノ
貸倒引当金の仕訳①基本の仕訳
貸倒引当金の基本の仕訳はとても簡単なのでここで覚えてしまいましょう。具体的には下記の通りです。
金額は適当です。貸倒引当金は資産のマイナス項目でホームポジションは貸方です。貸倒引当金繰入は費用で借方がホームポジションとなります。
もう一つ、売掛金や売上手形などの債権が貸し倒れてしまった場合の仕訳をご紹介します。この場合、売掛金などは前期から持っている債権が貸し倒れた場合の仕訳になります。
(債権)売掛金が貸し倒れた設定です。売掛金は資産ですので、ホームポジションは借方です。売掛金が貸倒てなくなるので、貸方に売掛金を書いて相殺します。
空いている左側の借方に貸倒引当金を書きます。貸倒引当金は資産のマイナス科目でホームポジションは貸方です。貸倒引当金を使用するので、逆仕訳で借方に記入します。負債ではありませんので注意が必要です。
仕訳の形自体はとても簡単ですので、今この時間で覚えてしまいましょう。貸倒引当金の金額の計算方法は、後程の章で解説をします。
キノ
貸倒引当金の仕訳②貸倒損失
貸倒損失とは、債権が貸し倒れてしまった際に使用する勘定科目です。
先ほどまでの章で、債権が貸し倒れてしまった場合は「貸倒引当金」を使って仕訳をしていましたが、「貸倒引当金」を使う仕訳は、前期から持っている債権が貸し倒れた場合です。
今回の貸倒損失は、当期に発生した債権が当期中に貸し倒れてしまった場合に使用する勘定科目となります。
それでは、貸倒損失の仕訳の基本形を紹介します。
★仕訳の解説
(債権)売掛金が貸し倒れた設定です。売掛金は資産ですので、ホームポジションは借方です。売掛金が貸倒てなくなるので、貸方に売掛金を書いて相殺します。
空いている左側の借方に貸倒損失を書きます。貸倒損失は費用ホームポジションは借方です。負債ではありませんので注意が必要です。
仕訳の形自体はとても簡単ですので、ここで覚えてしまいましょう。
貸倒引当金の仕訳③応用の仕訳
この章では、貸倒引当金の応用の仕訳をご紹介します。具体的に言うと、債権の貸倒が今期以前のもので、貸倒引当金繰入額よりも多い債権が貸し倒れた場合の仕訳です。
例えば、こんな感じの問題になります。
貸倒引当金3,000 売掛金5,000
貸倒損失2,000
前期以前の債権が貸し倒れた場合、貸倒引当金として計上してあるものを使って仕訳を行いますが、「貸倒額>貸倒引当金」になってしまった場合は、その差額が貸倒損失となります。
応用とは書きましたが、仕訳の形自体はそこまで難しくはないので覚えておいてくださいね。
貸倒引当金の仕訳④償却債権取立益
償却債権取立益は、前期に債権が貸倒て貸倒損失を使って仕訳をおこなった後、お金が返ってきた場合の仕訳に使用する勘定科目です。
キノ
仕訳の基本の形をご紹介します。前期に貸倒損失を使って仕訳をおこなった場合です。
貸倒損失100 売掛金100
現金100 償却債権取立益100
償却債権取立益は、今期以前の債権が貸し倒れて、貸倒の仕訳をおこなった後にお金が返ってきた場合に行う仕訳ですので、当期に貸し倒れたお金が返ってきた場合は、償却債権取立益を使わずに処理を行います。
貸倒損失100 売掛金100
現金100 貸倒損失100
理屈としては、前期までの決算で、既に貸倒損失で会計処理を行なっているため、過去に遡って修正する仕訳ができないので、償却債権取立益を使って、前期の貸倒損失のお金が返金されたとわかるように仕訳をする目的です。
貸倒引当金の仕訳⑤貸倒引当金の計算方法
貸倒引当金を繰入れる場合の計算方法をご紹介します。貸倒引当金の計算は決算整理仕訳で行うので、試験では第3問の総合問題で出題されることが多いです。
計算方法はとても簡単で、【「売掛金・受取手形」の残高×貸倒実績率】で計算をします。貸倒実績率は問題文に記載があります。
本番の試験では、売掛金や受取手形の金額が決定しないと貸倒引当金の計算ができないので、第3問の総合問題なら与えられた資料の仕訳が一通り済んでから手をつけるようにしましょう。
決算整理仕訳で、貸倒引当金の計算を行う。債権の残高に対して2%の貸倒を見積もり差額法で設定する。
- 売掛金1,000円
- 受取手形2,000円
- 貸倒引当金の残高20円
貸倒引当金繰入40 貸倒引当金40
債権の合計3,000円×2%=60円
60円ー貸倒引当金の残高20円=40
計算方法は簡単ですが、売掛金や受取手形の決算整理仕訳を間違えると自動的に間違えてしまう問題ですので、まずは仕訳の精度を上げるようにすると良いですよ。
貸倒引当金の仕訳:まとめ
この記事では、貸倒引当金の仕訳について解説をしてきました。
貸倒引当金の仕訳自体は簡単ですが、償却債権取立益など一部ややこしいものも含まれているので注意が必要です。
試験では、第3問の総合問題の決算整理仕訳で債権の処理をしてからではないと正確な貸倒引当金の計算ができない問題も出題されるので注意してください。
貸倒引当金は資産のマイナス科目という特殊な勘定科目ですので、最初は苦戦するかもしれませんが、試験で得点できるように練習しておきましょう。
キノ
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