この記事では、費目別の材料・賃金勘定の予定消費単価と予定賃率について基礎的な部分を解説していきます。
工業簿記では、「予定〇〇」が頻繁に出てきます。
- 予定消費単価
- 予定賃率
- 予定配賦率などなど
キノ
標準原価計算にも、標準原価があるので、頭の中がごちゃごちゃしてしてしまいますよね。
今回取り上げる予定消費単価についても、苦手としている方は意外と多いのではないでしょうか?
予定消費単価・予定賃率の学習には、言葉の定義をしっかりと覚えることが重要です。
この記事を読んでいただければ、予定消費単価・予定賃率についての理解が深まりますので、最後までご覧ください。
キノ
〜この記事でわかること〜
予定消費単価とは?
予定消費単価とは、あらかじめ決めておいた単価で材料費の計算することです。
商業簿記で、先入先出法や平均法など「消費単価の計算」を勉強してきました。
材料や賃金勘定も同じです。
- 期首材料:当月まで持越しているもの
- 当月受入:当月に購入したもの
- 期末材料:次月に繰り越すもの
材料費を先入先出法もしくは、平均法で計算するのかは会社によって異なりますが、実際単価で計算をするのには時間がかかるみたいです。
キノ
そこで、
「だいたいこのくらいの単価だろう」
という金額をあらかじめ決めておき、仮の単価と実際に使った材料消費量で、材料費を計算するのです。
あくまでも予定消費単価ですので、後々「材料消費価格差異」という予定と実際の単価の差異を計算します。
- 材料はB/S科目で資産です。
- 材料費はP/L科目で費用です。
材料を消費して商品を作ると、材料を消費することで材料費となります。
消費するので材料費です。
キノ
予定賃率とは?
予定賃率は、賃金を計算するときの予定単価のことです。
わかりやすく言うと、予定の時給単価と考えるとわかりやすいかもしれません。
お給料の計算では、固定給でも残業代など『基本給+その他+α』があり、人によって状況が異なります。
そこで、予定賃率を使用して労務費の計算を行います。
予定消費単価の賃金版だと考えてしまって大丈夫です。
材料・賃金勘定と仕掛品・製造間接費勘定の区別できていますか?
- 購入代価:購入した材料のこと
- 購入原価(ボックス左下):購入代価+材料副費
月初材料+当月購入原価ー月末材料=材料費
材料費→仕掛品・製造間接費勘定へ行く
工業簿記では、言葉の定義をしっかりと理解することがとても重要です。
今回ご紹介している予定消費単価・予定賃率は、材料勘定、賃金勘定を仕掛品・製造間接費勘定に振替えるという論点です。
もう少し言うと、材料費・労務費を予定単価を使用して計算するということです。
上に示した勘定連絡図の赤丸の部分に記載する金額を予定単価で計算するということです。
工業簿記をあいまい勉強しないための秘訣は?
簿記2級に合格するための鍵は、「工業簿記で40点を獲得」「商業簿記で部分点を取る」ことです。
多くの人が工業簿記では計算問題に焦点を当てがちですが、それだけでは十分ではありません。
実際、工業簿記の問題を解くだけでは、一定の段階で得点が伸び悩みます。
工業簿記では問題を解くだけでなく、1つ1つの用語や概念をしっかり理解することも重要です。
キノ
正直、テキストを読みながら「どこが重要なのか」を独学で把握していくのは大変です。
例えば、材料と材料費の違いを説明できますか?
- 材料とはストックしてあるもの=資産
- 材料費は「材料を消費」したもの=費用
費目別計算の問題が出題された際に、材料と材料費の定義を理解していないと問題を解くことができません。
独学でテキストを読んでいるだけだと、一見地味だけど重要なポイントを見逃したり・そもそも重要だと気づかなかったりして、曖昧な勉強になりがちです。
工業簿記を簿記2級試験の武器にするには、通信講座を活用して勉強することをおすすめします。
通信講座では、動画講義でポイントを解説し、質問にも対応してくれます。
また、実践的な問題演習や模擬試験なども提供され、自己学習だけでは不足しがちな点を補うことができます。
キノ
材料・賃金勘定に予定消費量ってないの?
結論から言うと、費目別計算には予定消費量はありません。
キノ
シングル・プランやパーシャル・プランのところで勉強します。
予定消費単価は、予定価格法による計算方法で、【予定消費単価×実際消費量】です。
予定価格法の式をしっかりと覚えておきましょう。
材料消費価格差異・賃率差異とは?
材料消費価格差異・賃率差異は、予定単価を使用した場合に発生する実際単価との差額のことです。
キノ
予定単価はあらかじめ、
「だいたいこれくらいの単価だろう!」
と決めておいた単価なので、実際の単価とは異なります。
そこで、実際の単価が判明した時に予定単価との差額を計算します。
それが「材料消費価格差異・賃率差異」です。
計算方法はとても簡単です。
【(予定単価ー実際単価)×消費量=価格差異】
価格差異は費用系の差異なので、(予定ー実際)の順番で計算をします。
覚え方は、『費用系の差異(悲しい差異)』と『収益系の差異(嬉しい差異)』と頭の中に置いて、「予定単価<実際単価」の場合、
「思ったよりも高かった・・・」
なので、不利差異(借方差異)と考えます。
逆に、「予定単価>実際単価」の場合、
「思ってたよりも安く済んだ♪」
なので、有利差異(貸方差異)です。
- 不利差異(借方差異):予定よりも多くの費用がかかった
- 有利差異(貸方差異):予定よりも少ない費用で済んだ
まとめ
この記事では、材料勘定・賃金勘定の予定単価について、基礎的な部分の解説をしました。
工業簿記では、予定単価の計算が頻繁に出題されます。
費目別・個別・総合・標準などの論点で予定単価や予定消費量を使った計算を行うのですが、これが非常にややこしいです。
特に、理解が曖昧なままだと、
「予定消費量はないんだっけ?」
など頭が混乱してしまいます。
キノ
この記事で解説した内容は、材料・賃金勘定の予定単価の話で、「予定価格法」による材料費・労務費の計算方法です。
予定定価法は、材料勘定の材料費を「予定単価と実際消費量」で仕掛品・製造間接費に材料費を振り替えるという論点です。
キノ
予定単価を使用すると、実際単価との差異が発生します。
この差異のことを「材料消費価格差異・賃率差異」と言います。
差異計算は、【予定単価ー実際単価】で計算し、マイナスになるときは不利差異、プラスになるときは有利差異です。
このあたりの論点は非常にややこしいですが、1つづつ丁寧に理解していくことで、結果的に簿記2級に早く合格できるようになりますよ。
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