- 単純総合原価計算が難しい・・・
- なかなか覚えられない・・・
- 覚えることが多くて混乱してしまう・・・
簿記2級で初めて工業簿記を勉強する方にとって、総合原価計算など見慣れない会計用語が多く難しいと感じるかもしれません。
また、総合原価計算は計算量が多く、数学が苦手な人だと苦手意識を持ってしまうでしょう。
総合原価計算にはいくつかの種類があり、今回は総合原価計算の基礎である単純総合原価計算について解説します。
この記事では、初学者でも理解できるように単純総合原価計算を紹介しますので、最後までご覧ください。
キノ
キノ
〜この記事でわかること〜
簿記2級の工業簿記で学ぶ『総合原価計算』とは?
総合原価計算は、同じ製品を大量に製造する工場で使用される原価計算の一つです。
例えば、食パンのみを製造する工場があるとします。
個別原価計算では、製品1つ1つに製造指図書があり、指図書通りに製品を製造し原価を計算します。
この方法は、オーダーメイドを請け負う工場で有用です。
しかし、食パンのように大量生産する場合は、1つ1つ原価計算をしていては効率が悪いですよね。
そこで、全体でかかった原価を作った個数で割って、製品1つあたりの原価を計算します。
このような計算方法のことを総合原価計算と言います。
キノ
簿記2級で学ぶ総合原価計算の種類
簿記2級の工業簿記で学ぶ総合原価計算には、4つの種類があります。
- 単純総合原価計算
- 工程別総合原価計算
- 組別総合原価計算
- 等級別総合原価計算
上記の計算は、作る製品の特性に合わせて「どの計算方法を使うと効率良く正確な原価計算できるか?」を考えて選択します。
この記事では、総合原価計算の基礎となる単純総合原価計算を解説していきます。
単純総合原価計算は一番シンプルな計算方法!
単純総合原価計算は総合原価計算の中で、最も基本の計算方法です。
キノ
単純総合原価計算と聞くとなんだか難しそうな印象を受けますが、計算方法はシンプルなので、何度も問題を解いて覚えていきましょう!
簿記2級を独学で合格するのは結構大変です。
これから勉強する方も、独学で勉強している人も通信講座を活用するのが合格への近道です!
下記の記事では、簿記2級初学者の方〜勉強中の方にまでおすすめできる通信講座をご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
単純総合原価計算のイメージとは!
単純総合原価計算は、1つの商品を大量に製造している工場で使用する「原価計算」方法です。
例えば、冷凍生地を購入して食パンを専門に作っている工場があるとします。
キノ
この工場では、【食パンの生地を型に詰める→発酵させる→焼く→包装ビニールに入れる→出荷する】
という工程を踏んでいます。
食パンだけを作っている工場であれば、個別原価計算のように、食パン1つあたりの原価を製造指図書の通りに原価計算するよりも、
食パンを作るのにかかった金額を完成品・月末仕掛品(月末の未完成品)で配分すれば、簡単に原価を計算できます。
このように総合原価計算は、1つの製品を大量に作る工場での計算に向いている原価計算方法と言えます。
総合原価計算は材料費と加工費で計算をする!
費目別計算では、材料費・労務費・経費について学びました。
総合原価計算では、直接材料費と加工費に分類して原価計算を行います。
- 直接材料費
- 加工費
1:直接材料費
材料費とは、材料を消費した金額のことを指します。
直接材料費は、製品に使用する素材などの材料などのことです。
例えば、車のタイヤなど「明確に原価の計算ができるもの」のことです。
ペンキなど、どの製品に何グラム使ったか明確に数えられないものは間接材料費になります。
キノ
材料と材料費って何が違うのか疑問に思って方もいると思います!
ややこしいので、ここで覚えてしまいましょう!
- 材料費:材料を消費した原価(費用)のこと
- 材料:材料という資産を保有している状態のこと
材料は、まだ製品製造で使用していない倉庫などに保管されている状態のもので資産です。
材料費は、材料を製品製造に使用した際の原価(費用)のことです。
実際の製品製造に使用した材料の分だけ材料費となります。
▼材料→材料費のイメージ
2:加工費
加工費とは、製品の加工が進むごとに増えていく原価のことです。
総合原価計算では、直接材料費以外の「間接材料費・直接労務費・間接労務費・直接経費・間接経費」が加工費です。
工場で物を作る際に、商品の骨格となる『材料費』と人や機械が物を作る『作業費』の2つの視点で考える必要があります。
直接材料費は製品の骨格となる物ですが、「間接材料費・直接労務費・間接労務費・直接経費・間接経費」は、加工の製造工程ごとに増えていく費用です。
なので、直接材料費以外のものをまとめて加工費として計算していきます。
加工進捗度とは?
加工進捗度とは、製品の製造がどれくらい進んでいるかを表す指標です。
キノ
例えば、月内に全体の50%の製造が進んでいる場合の加工進捗度は50%です。
その際、加工費は50%発生していると考えます。
加工進捗度100%の加工費が1,000円なら、加工進捗度50%の加工費は500円です。
キノ
なので、加工進捗度が50%でも直接材料費は100%投入している状態です。
加工進捗度は総合原価計算を行う上で必須なので、しっかりと覚えておきましょう!
完成品換算量とは?
完成品換算量とは、仕掛品が完成品の何個に相当するかを表す指標です。
仕掛品に加工進捗度を掛けたものが完成品換算量です。
この換算量は、加工費を計算するために必要であり、総合原価計算において非常に重要な要素です。
総合原価計算の問題を解くうえでとても重要なので覚えておきましょう。
【仕掛品の計算方法】先入先出法と平均法とは?
総合原価計算には、「先入先出法」と「平均法」という計算方法があります。
キノ
- 先入先出法
- 平均法
1:先入先出法
先入先出法は、先に購入した材料・加工費から使用していくと考えて計算を行う方法です。
下記の画像のように、前月に残っている材料費・加工費を先に完成品に加えて、後から入れた材料費・加工費を月末の残りに加えます。
2:平均法
平均法は、購入した材料・発生した加工費のタイミングは無視して、製品製造に使用した材料費・加工費の平均単価で原価計算を行う方法です。
下記の画像のように、前月に残っている材料費・加工費と当月に投入する材料費・加工費の平均単価を完成品と月末の残り配分します。
【簿記2級】工業簿記の単純総合原価計算はボックス図を活用する!
総合原価計算を計算する際は、BOX図を使用して計算していきます。
具体的には下記のようなBOXを作ります。
このBOXに、問題文で与えられた数字を当てはめて「先入先出法or平均法」で原価の計算を行います。
少し具体的な例で解説をします。
- 初月仕掛品40個(50%)
- 当月投入100個
- 月末仕掛品30個(40%)
- 完成品110個
カッコ内は加工進捗度を表している。
計算方法は、先入先出法で行う。
<原価データ>
〇初月仕掛品材料費
- 材料費800円
- 加工費600円
〇当月投入
- 材料費2,000円
- 加工費1,632円
上記の情報をまとめると、下記の画像のようになります。
今回は、先入先出法なので、月初仕掛品の材料費と加工費はすべて「完成品」の原価です。
当月投入の材料費と加工費は、各費用から当月投入の個数を割って1つあたりの単価を計算します。
- 材料費2,000÷100個=@20円
- 加工費1,632÷102個=@16円
キノ
BOXに書くと下記のような感じになります。
完成品は下記のように計算できます!
110個作るのにかかった原価は、4,240円という計算ができました!
このように、BOXを使って計算を行うことで、視覚的にわかりやすく計算を行うことができます。
簿記2級の単純総合原価計算:まとめ
単純総合原価計算は、総合原価計算の基礎の部分ですのでとても重要な論点です。
覚えることがたくさんあり、初めて勉強する方は混乱してしまうかもしれません。
しかし、計算自体はとても簡単ですので苦手意識を持たずに取り組んでください。
工業簿記は、1つ1つの言葉の意味をしっかりと腹落ちさせて勉強していくことで上達が早くなります。
単純総合原価計算の場合、完成品換算量とはなんなのか?加工進捗度とは何か?材料と材料費の違いは?
など、1つ1つ意味を理解していきながら勉強を進めていってくださいね!
工業簿記は、とにかく手を動かして問題に取り組むと良いですよ!
もし、簿記2級を取得することで費用対効果が良ければ「通信講座」を利用してしまうことをおすすめします!
例えば、簿記2級を取得することで転職に成功し、「月収が1万円上がる!」という方の場合、どんなに高い通信講座でも1年以内にスクール代を回収できます!
安いスクールなら、転職後2ヶ月で回収できます!
早ければ早いほどお得です!
下記の記事で、おすすめの通信講座をご紹介しているので参考にしてください!