簿記の勉強をしている方でも、建設業経理士という資格を知っている人は意外と少ないのではないかと思います。
キノ
建設業経理士は、特に未経験で簿記の資格をとって経理で転職したいという方にはぜひ知っていただきたい資格です。
この記事では、建設業経理士はどのような資格なのか?建設業経理士を取得するメリットがあるのかを解説していきます。
最後までご覧ください。
〜この記事でわかること〜
建設業経理士2級とは?
建設業経理士とは、ざっくりと言うと建設業に特化した簿記です。
建設業経理検定:https://www.keiri-kentei.jp/
建設業経理士2級には商業簿記と建設業簿記があります。
商業簿記は、日商簿記と試験範囲は異なるものの内容的には同じです。
日商簿記2級に関しては工業簿記を学習しますが、建設業経理士では建設業専門の簿記を学習します。
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建設業経理士2級はどんな人が受験すべき?
建設業経理士2級を受験した方が良い人は、下記のような方です。
- 建設業界の経理で働きたい人
- キャリアアップしたい人
- とにかく未経験で経理を目指している人
建設業経理士2級は日商簿記2級とは違い、資格取得者が在籍していると企業にとってメリットがある資格です。
U-CAN様の記事を一部引用させていただきます。
建設会社の経営状況をチェックする「経営事項審査」においては、従業員に建設業経理士がいると加点対象になるためです。経営事項審査は、公共工事の入札にあたって必ず受けなければなりません。
引用元:https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1405/column/column01.html#section06
日商簿記2級は面接先の企業に対して、簿記の知識を持っていると証明するためのものです。
建設業経理士2級は、取得しているだけで企業側に直接的なメリットとなるため、建設業界の経理を目指すうえでは、日商簿記よりも有利な資格と言えます。
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建設業経理士2級の試験日は?
建設業経理士2級の試験日は、9月上旬と3月上旬です。
令和5年9月の試験日は9月10日(日)です。
9月の申し込みは6月15日で終わってしまったので、令和6年3月の試験に申し込む方は、下記のサイトを参考にしてください。
申込みページ:https://www.keiri-kentei.jp/exam/secondhalf/index.html
建設業経理士2級の試験範囲は?
建設業経理士2級の試験範囲は下記の通りです。
- 簿記会計の基礎
- 建設業簿記の会計処理
- 建設業簿記の会計の基礎
- 完成工事高の計算
- 原価計算の基礎
などなど・・・
検定試験の出題範囲等:https://www.keiri-kentei.jp/exam/scope.html
商業簿記に関しては、日商簿記2級で学習する内容とほとんど同じですが、一部異なります。
例えば、日商簿記2級には連結会計が範囲に含まれていますが、建設業経理士2級には連結会計は含まれません。
逆に、建設業経理士2級には社債が含まれますが、日商簿記の社債の出題範囲は1級です。
このように、一部出題範囲が異なります。
建設業簿記に関しては、日商簿記2級で学習する工業簿記の建設業バージョンと言った感じです。
例えば、費目別計算、部門別計算、個別原価計算など日商簿記、建設業経理士どちらでも共通して学びます。
建設業経理士2級の難易度は?
試験問題の難易度は、日商簿記2級よりも建設業経理士2級の方が簡単だと思います。
合格率を見ても、建設業経理士2級の合格率はほぼ毎回35%を超えているので、日商簿記2級よりも安定して受かりやすいのではないかと思います。
合格率参考:https://www.keiri-kentei.jp/exam/past/data.html
ネット上でも【日商簿記3級<建設業経理士2級<日商簿記2級】の難易度なのではないかと書かれていることが多いですし、自分もその通りだと思います。
建設業経理士2級が日商簿記2級よりも難易度が低いのかという考察ですが、理由は毎回同じような問題が出題されているからだと考えます。
一度建設業簿記の全体像を把握してしまえば、過去問を繰り返し解くことで高得点が期待できます。
逆に、日商簿記2級のペーパー試験は難しすぎて合格率10%台なんてときもありますし、なんといっても連結会計と税効果会計の登場で難易度が爆上がりしています。
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ただ、建設業簿記の内容自体は、建設業関係の仕事をしていない人からするとイメージが付きにくいので覚えるのが大変です。
勉強自体の難易度を考えると、建設業経理士2級の難易度はネットで言われているよりも難しいのではないかと思います。
建設業経理士2級に合格するには、どれくらいの勉強時間が必要?
建設業経理士2級に合格するための勉強時間は、人それぞれ異なります。
ここでは、下記の3つのパターンで考察していきたいと思います。
- 簿記1級で工事契約の論点を学んだことがある人
- 日商簿記2級を持っている人
- 日商簿記3級合格者
1:簿記1級で工事契約の論点を学んだことがある人
日商簿記1級の建設業会計を勉強したことがある方なら、1ヶ月じっくりと過去問に取り組めば合格することができるでしょう。
日商簿記1級では、「完成工事高」「工事原価」「工事利益」を直接計算して、見積りの変更があった場合の計算をどのようにするかという勉強が多い印象ですが、建設業経理士2級では仕訳や勘定連絡を理解しているかも問われます。
また、2023年9月の試験時点の試験範囲を見ると、
第3 完成工事高の計算 1 工事収益の認識
ア 工事完成基準
イ工事進行基準
ウ工事部分完成基準
引用先:https://www.keiri-kentei.jp/data/pdf/exam/R5A_kubun_12.pdf
と記載されているので、新しい収益認識に関する会計基準に適用していません。
このあたりも、しっかり区別して勉強をしないと試験で点数を落としてしまう原因になるでしょう。
2:日商簿記2級を持っている人
日商簿記2級を持っている方は、建設業簿記の知識が全くない状態だと思いますので、2〜3ヶ月ほど学習の期間を設けると良いでしょう。
だいたい100時間前後を見積もっておくと良いのでは無いかと思います。
「建設業簿記とは?」から始めなくてはいけないですし、みたことも聞いたこともない勘定科目が登場するので結構難しいです。
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- 仕掛品=未成工事支出金
- 売掛金=完成工事未収入金
- 売上原価=完成工事原価
など
特に、「工業簿記が苦手だ・・・」という方は、ベースが工業簿記なので建設業簿記も難しく感じるでしょう。
逆に、工業簿記が得意な方は、思ったよりも早く合格レベルになる可能性もあります。
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3:日商簿記3級合格者
日商簿記3級に合格している方の場合は、4ヶ月ほど学習の期間を設けると良いでしょう。
日商簿記2級は350時間ほどの勉強時間がかかると言われることが多いです。
建設業経理士2級のボリュームは、日商簿記2級よりは少ないので250時間くらいを見積もっておくと良いでしょう。
特に、日商簿記3級では商業簿記しか勉強しませんが、2級になると工業簿記、建設業簿記など新たな簿記が加わります。
難易度がグンっと上がりますので、しっかり勉強をする時間を確保しましょう。
まとめ
建設業経理士2級は、建設業界の経理担当として働きたい方やキャリアアップに役立つ資格です。
特に、経理未経験で日商簿記2級を取得したがなかなか就職先が見つからないという方におすすめです。
建設業経理士2級を所持していると簿記の知識を持っていることをアピールできるだけではなく、企業側にもメリットがあるからです。
建設業簿記は特殊な勘定科目を使用するため、日商簿記2級を勉強したことがある方は最初は戸惑うかもしれません。
過去問を何度も解いて工業簿記との違いを1つずつ理解していけば、2ヶ月ほどで合格できる実力になるのでは無いかと思います。
興味のあるかたは、受験を考えてみてはいかがでしょうか。