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【簿記2級】工業簿記が苦手・・・データ分析でも使える差異計算の話

 

「簿記2級の勉強をしているけど工業簿記が苦手・・・」

簿記2級を勉強している方の中には、工業簿記に苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか?

 

「経理を目指しているし、工場勤務でもないのに工業簿記なんて勉強する必要あるの?」

 

と感じてしまうかもしれません。

実際に自分もそう思っていたことがありました。

今は2週間ほどですが、会社の損益に関するデータ集計・分析の仕事をしていて、工業簿記の知識はとても使えるなと改めて再認識しています。

この記事では、簿記2級の勉強をしているけど工業簿記が苦手、筆者のようにデータ分析の仕事を検討している方の役に立つ情報を書いていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

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そもそも管理会計とは?

 

会計には大きく財務会計と管理会計の2つがあります。

すごいざっくりと解説すると、財務会計は社外の人に会社の会計上の財政状態を報告するための会計活動です。

管理会計は会社内で使用し、社長などの役員が意思決定するための資料作成などをする会計活動のことです。

経理職の人は、最終的に財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)を作成するために日々のお金の動きを仕訳して帳簿に記入する仕事をしています。

財務会計ですね。

逆に、筆者のように、売上や費用のデータを収集・分析する仕事は、内部向けに作成する資料のため管理会計になります。

管理会計では、売上や費用の分析をするので原価計算の知識が必要になります。

なぜ工業簿記が苦手なの?

おそらくですが、簿記2級の勉強をしている人の多くは「経理」として働きたいと思い日々勉強に励んでいると思います。

経理は財務会計がメインになると思いますので、日商簿記で言うところの商業簿記のいイメージが強いと思います。

なので、

 

「別に工場の経理になるかわからないし、工業簿記って本当に必要なの?」

「工場で働いたことがないから内容がイメージできない・・・」

 

筆者は経理未経験なのでこのあたりは不明ですが、確かに商品を仕入れて販売している会社の経理では、総合原価計算を覚えても使わないかもしれません。

しかし、工業簿記の内容はほぼ全ての会社で応用できる知識でもあります。

工業簿記がデータ分析で使える理由とは?

工業簿記を勉強したことがある人なら覚えているかと思いますが、工業簿記は下記のようなステップで勉強していくと思います。

工業簿記の内容
  1. 材料費・労務費・経費・製造間接費
  2. 部門別計算
  3. 個別原価計算
  4. 総合原価計算
  5. 標準原価計算
  6. 直接原価計算
  7. 本社工場会計

特に、個別原価計算や総合原価計算は工場で製品を製造する際に、1つあたりの製品にかかる原価の計算を勉強するので、

 

「製品1つあたりの原価の計算方法を知っても使わないからな・・・」

 

とあまり興味を持てない人もいるかもしれません・・・

 

製品1つあたりにかかる原価計算は直接は使わないにしても、標準原価計算や直接原価計算は、しっかりと勉強しておけば日常でも役に立ちます。

実際にどのあたりが役立つのかというと、「差異計算」です。

予定消費単価と標準原価計算?

工業簿記を勉強している際に

 

「難しいな・・・」

 

と感じるのが差異計算でしょう。

差異計算を苦手と感じてしまう理由は、「予定消費単価による差異計算」「標準原価計算による差異計算」がごっちゃになっていることかなと思います。

予定消費額は「予定単価×実際数量」で計算を行います。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

対して、標準原価計算では、あらかじめ決めておいた目標となる金額・消費量と実際の単価・数量を混ぜて計算します。

 

「予定消費額の差異計算と標準原価計算の差異計算って何が違うの?」

「どちらも差異計算なんだからどちらかだけでも良くない?」

 

筆者は、簿記1級の勉強をしていた時にこのように感じたことがあります。

テキストにもこのあたりは詳しく書いていないので個人的な解釈なのですが、

 

予定消費単価は、あくまでも1ヶ月の損益の計算を概算で出すのに使用します。

例えば、材料費や賃金ってある程度毎月決まっていても、仕入れ業者から請求が来るのが月中だったら、月末の時点で正式な金額がわかりません。

工業簿記のテキストで、1ヶ月ごとに原価計算をすると書いてあるのをみたことがあると思いますが、9月の原価計算を月初にするのに、10月15日に単価が決定していては月初の段階で計算ができませんよね。

キノ

あくまでも材料の単価が月初に確定しないだけで、工場側で数量は把握しているはずなので、予定数量数は使用しません。

そこで、予定消費単価を使って月初に原価計算をし、正式な単価が決まったら予定単価と実際単価の差異を計算して9月の原価が確定するといった感じです。

 

それに対して標準原価計算では、どちらかというと管理会計に近い性質のものなのかなと思います。

要は、前期に、

 

「来期の売上目標は◯◯円!製品単価は@◯◯円、それを達成するための製品製造量は◯◯個、材料費などの費用は◯◯円で〇〇個使用。失敗などのアクシデント込みで20%くらい費用を上乗せした金額を費用目標にすれば、最終的な利益は〇〇円になるはず

 

みたいな感じであらかじめ予算を決めておきます。

これを標準として、

 

「今月は思ったより費用が高いけど、材料を高く仕入れたの?それとも失敗してロスを出したの?」

 

など、差異計算をして理由を分析していくのが標準原価計算です。

よって、予定消費単価と標準原価計算は使用する意味が異なる別ものなのです。

差異計算の基礎を解説!

差異計算は、経理職や、データ集計・分析をするに人とても使える知識です。

筆者が会社の損益の集計をしているので簿記的な視線で書きますが、

差異計算は収益面と費用面の両方から計算できます。

その場合は計算の順番が逆になるので注意してください。

収益の場合
実際の収益ー予定収益
費用の場合
予定費用ー実際の費用

 

収益の場合

(例)1つ100円の製品が10個売れた場合:100×10=1,000円です。

もし、実際の売上が900円だった場合、900(実際)ー1,000(予定)=△100円となり不利差異となります。

売上の計算は「単価×数量」なので、標準原価計算を使えば「安い単価で売ってしまった」のか、それとも「売れた個数が少なかったのか」などを計算できます。

キノ

ちなみにですが、予定消費単価の場合は、実際の数量で計算するので数量差異は計算できません。
費用の場合

(例)1つ100円で作れるはずの製品を10個作った場合:100×10=1,000円です。

もし、実際にかかった費用が900円だった場合、1,000(予定)ー900(実際)=100円となり有利差異となります。

 

このように、売上と費用、どちらの差異を計算したいかで計算順序が変わるので注意が必要です。

工場でなくても原価計算は応用できる!

ここでは、原価計算の特に差異計算は工業以外にも使えるというお話を簡単にしたいと思います。

例えば、他社から商品を仕入れて販売する会社があるとします。

営業さんが商品を買ってもらうために、

 

「100個買ってくれたら10%値引きします!」

 

みたいなことをしたり、キャンペーンを実施したりと、通常設定している単価よりも安い単価で販売することがあります。

この時に、差異計算の知識があれば、

 

「本来なら売上1,000円のはずなのに900円しか売上が立っていない」

「売上目標は1,000円のはずなのに1,200円収益が発生した」

 

こんな時に「なぜ?」売上が増えたのか、減ったのかを計算して分析することができます。

営業でも、管理部門で予算編成で決めた売上目標があります。

キノ

9月の売上目標は◯◯円みたいな感じです。

売上目標を達成するために、値引きをして無理やり目標達成させる。

みたいなことをすると、確かに売上は達成できるかもしれませんが、その分仕入れる商品を多くする必要があり、売上目標は達成できてもその分費用も多くなります。

もし、上記のような場合に、

 

「仕入れ額が上がっているんだけど適正価格で仕入れできてるの?」

 

など、適正単価で仕入れをしていたとしても購買部のせいにされてしまうかもしれませんよね。

しかし、差異計算を行えば、

 

「購買部は適正価格で仕入れているけど、営業部の販売単価が低かった影響で仕入れ単価が上がっている」

 

と判断することができます。

キノ

この場合、単価を安くしてしまっているので不利差異、数量はたくさん売れているので有利差異ですね!

 

「別に工場の経理を目指しているわけではないから工業簿記って勉強する必要あるの・・・?」

 

って疑問に思っている方も、意外と工業簿記の知識は役に立ちますので、ぜひ興味を持って勉強してみてもらえればと思います。

工業簿記が苦手な人はこの本を読んでみて!

工業簿記が苦手・・・でも、試験までまだ時間に余裕がある!

という方は、ぜひ「マンガでわかる管理会計 はじめてでもわかる儲けのからくり」という本を読んでみてください。

キノ

電子版もありますので、通勤中の電車の中でも読みやすいと思います。

マンガなのでスラスラ読めると思います。

お菓子工場を舞台に簿記2級で学習する内容を財務会計と管理会計の違いをわかりやすく解説してくれるので、実際にどのように工業簿記の内容が使えるのかイメージしやすい内容になっています。

また、筆者のようにデータ集計・分析を行っている人にもおすすめです。

簿記1級の内容も含まれているので、人によっては情報過多になる可能性もありますが、軽い気持ちで読んでいただけると役立つ情報も多いと思います。

興味のある方はぜひ読んでみてください。

まとめ

この記事では、簿記2級の工業簿記が苦手という方や、データ分析の仕事に興味のある方に向けて、差異計算のお話をしてみました。

工業簿記は、工場で経理職で働く人しか使わないと思われがちですが、実はそんなことはありません。

商品を仕入れて販売する会社でも使うことができるのでとても便利です。

もし、まだ試験までに余裕があるという方は、「マンガでわかる管理会計 はじめてでもわかる儲けのからくり」という本を読んでみてください。

マンガなのでスラスラ読めますし、工業簿記(原価計算)の有用性を理解できると思います。

簿記2級を取得して経理を目指す方、データ収集・分析の仕事を目指している方の参考になれば幸いです。

それでは、ありがとうございました。