「減価償却がわからない」
「減価償却の計算方法がわからない」
この記事では、ITパスポート試験の過去問に出題されていた減価償却について、これだけは押さえておいてということを解説していきます。
減価償却というと、あなたはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
例えば、マンション(資産)をイメージしてみてください。
マンションを購入して使うと価値が下がる。
(元々の購入額ー現在の価値=減価償却)
みたいなイメージを持っていないでしょうか?
減価償却というのは、確かに資産(マンション)の価値を下げるために行うのですが、多くの方がイメージしているような意味ではありません。
この記事では、簿記会計で学ぶ減価償却について、ITパスポートの試験対策になるレベルで解説をしますので、最後までご覧ください。
減価償却の問題は優先度低めだと思うので、勉強が間に合っていない方は、過去問の練習を優先してください。
〜この記事でわかること〜
減価償却とは?
「減価償却ってなに?」
という方のために、減価償却について簡単に解説します。
減価償却とは、取得した資産を1回の会計で処理するのではなく、耐用年数に応じて費用分配するための手続きです。
どういうことかというと、例えば営業で使用する車を100万円で購入し、5年間使えるものとします。
簿記には、資産・負債・純資産・費用・収益と5つの項目があるのですが、営業車は会社がお金を稼ぐために購入したものなので資産として計上します。
キノ
「車の購入費用は「費用」じゃないの?」
と考えた方は鋭いです!
車を購入した時の会計処理としては下記の様に行います。
「(借方)車100万円 (貸方)現金100万円」
お金(資産)を減らして、車(資産)を増やしている状態ですので、今のところ費用処理はされていません。
車を購入(投資)して収益を得ているわけですので、車の購入代も費用として計上したいですよね。
なぜなら、
『収益ー費用=利益×税率』
なので、車を購入した代金を費用処理しないと税金が高くなってしまうからです。
しかも、車は耐用年数という使える期間が決まっているものなので、最終的な価値は0円です。
では、車代100万円を一気に費用処理しても良いのでしょうか?
ここで考えて欲しいのが、車を5年間使う予定だということです。
5年間使う車を100万円で購入したのですから、100万円をその年度に全て費用計上するのは少し無理がありますよね。
5年使うのであれば、単純計算で
- 1年目:20万
- 2年目:20万
- 3年目:20万
- 4年目:20万
- 5年目:20万
と費用計上するのが筋というものではないでしょうか?
減価償却は、100万円の車を5年間使うのだから、使用する年度ごとに費用を負担してもらうという会計処理をすることです。
余談ですが、減価償却を仕訳すると、
「減価償却費20万/減価償却累計額20万」となります。
減価償却で覚えておいて欲しい用語
この章では、減価償却の問題を解くために覚えておいて欲しい用語の解説をします。
具体的には下記の通りです。
- 取得原価
- 償却方法
- 耐用年数
- 残存価額
- 償却率
- 減価償却累計額
1:取得原価
取得原価とは、購入した資産の金額と付随する費用の合計のことです。
計算式にすると下記の通りです。
「購入代価+付随費用=取得原価」
例えば(金額を小さくします)、事務所を95万円で購入し、仲介手数料が5万円かかった場合の取得原価は100万円です。
2:償却方法
償却方法とは、減価償却を行うときの計算方法のことです。
次の章で簿記2級までで勉強する償却方法をご紹介します。
耐用年数
耐用年数とは、資産を使用する年数のことです。
残存価額
残存価額とは、減価償却が終わった後の資産の金額のことです。
通常、残存価額は1円か0円です。
問題文に書いてあります。
償却率
償却率とは、次の章で紹介する定率法で減価償却を行うときに使用するものです。
例えば、車を100万円で購入し、耐用年数は5年、残存価額0円、償却率20%(0.2)と書いあれば、
償却率20%で毎年車の減価償却を行い、最終的に5年で0円になるということです。
計算方法は後の章で解説します。
試験では、あらかじめ償却率〇〇%と記載があり、自分で計算することはありません。
ITパスポート試験では出題されることはないかと思いますが、200%定率法の場合は、自分で償却率を計算します。
減価償却累計額
減価償却累計額は(貸借対照表を間接法で記入している場合)、減価償却した金額の累計金額を表したものです。
例えば、減価償却を1年目20万円、2年目10万円している場合の減価償却累計額は30万円です。
直接法で表示している場合は、減価償却累計額はありません。
直接、資産から控除して表示します。
減価償却の計算方法にはいくつか種類がある
減価償却にはいくつかの計算方法があるのですが、ここでは日商簿記2級までに学習する減価償却の計算方法をご紹介します。
- 定額法
- 定率法
- 200%定率法
- 生産高比例法
キノ
減価償却は固定資産に対して行うのですが、ソフトウェアも無形固定資産として計上して条件を満たしている場合には償却処理を行います。
ソフトウェア償却と言います。
計算方法は次の章でご紹介します。
ITパスポート試験で出題された減価償却は?
ITパスポート試験で出題されたことのある減価償却は下記の2つです。
- 定率法
- ソフトウェア償却
1:定率法
定率法は、償却率を使用して減価償却する方法です。
償却率は通常問題文に書いてあります。
キノ
計算方法は下記の通りです。
(取得原価ー期首減価償却累計額)×償却率=減価償却費
▼(例)
- 車の取得原価100万円
- 期首減価償却累計額50万円
- 償却率0.5
- 残存価額0円
- 耐用年数4年
↓ ↓ ↓
1年目:100万×0.5=50万→期首減価償却累計額50万円とあるので、ここまで計算済み
2年目:(100万ー50万)×0.5=25万
3年目:(100万ー75万)×0.2=12,5万→(75万=50万+25万)
4年目:100万ー87,5万=12,5万
4年目の減価償却で償却率を使わない理由は、耐用年数が4年だからで、
87,5万+12,5万=100万となるので、残りすべてを償却します。
※減価償却費は赤文字にしています。
(取得原価ー期首減価償却累計額)×償却率=減価償却費
上記の式で、「ー期首減価償却累計額」をする理由は、定額法と同じ計算結果になってしまうからです。
定率法は、最初は大きく費用処理をして、使用年度が上がるにつれて償却額が小さくなるという特徴があります。
「ー期首減価償却累計額」の計算を行わずに、取得原価に償却率を掛け続けると、毎年の償却額が同じになってしまいます。
それでは、この後ご紹介する定額法と同じになってしまいます。
もう少し深掘りをすると、定率法には保証率と改定償却率があり、それらを使って減価償却の計算を進めるのですが、難しいのでここでは端折って計算しています。
多分ですが、ITパスポート試験で保証率と改定償却率まで聞かれることはないと思っています。
2:ソフトウェア償却(定額法)
ソフトウェア償却についてですが、ITパスポートの過去問を見ると、計算問題ではなく計算方法(理論)について問われていました。
正直、かなり細かい(難しい)論点だなと思いました。
自社で利用するソフトウェアを購入し資産計上した。ソフトウェアを償却する場合の処理として正しいものはどれか?
ア:任意で選択した償却方法
イ:〇〇→不正解なので飛ばします
ウ:定額法
エ:定率法
というような問題でした。
ソフトウェアには細かいルールがあり、4つに分類できます。
- 研究開発目的のソフトウェア:日商簿記1級
- 受注制作目的のソフトウェア:日商簿記1級
- 販売目的のソフトウェア:日商簿記1
- 自社利用目的のソフトウェア:日商簿記2級
今回の問題は、「自社で利用するソフトウェア」とのことだったので、上の表の赤文字になっている日商簿記2級で学習する内容でした。
キノ
正解は定額法なのですが、なぜ定額法なのか過去問道場(←参考サイトへ飛びます)の解説を見ると、「税法で定額法と定められている」というようなことが記載されていました。
税法と会計は多少異なるのですが、筆者が税法に詳しくないため、「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」を参考にしたところ、
21.自社利用のソフトウェアについては、その利用の実態に応じて最も合理的と考えられる 減価償却の方法を採用すべきであるが、一般的には、定額法による償却が合理的である。
と書いてありました。
おまけ1:定額法
定額法の計算方法は簡単です。
「減価償却とは?」の章で、「車を100万円で購入し、耐用年数は5年である。」と例を出したのを覚えているでしょうか?
定額法は、100万円を5年間定額で費用処理する方法です。
計算方法は下記の通りです。
100÷5年=20万
- 1年目:20万
- 2年目:20万
- 3年目:20万
- 4年目:20万
- 5年目:20万
おまけ2:200%定率法
200%定率法がITパスポート試験で出るとは思いませんが、せっかくなので紹介します。
定率法がわかれば特に難しいことはありません。
定率法では、問題文で償却率が指定されているのですが、200%定率法は自分で償却率を計算するだけで、それ以外は定率法と同じです。
200%定率法の償却率の計算式です。
「1÷耐用年数×200%」(200%→2でも可)
例えば、100万円の車を購入した。耐用年数は5年、200%定率法で計算する
という問題があるとします。
償却率は、1÷5×200%=0.4
なので、初年度の減価償却費は「100万×0.4=40万円」です。
ちなみにですが、200%定率法の償却率の計算式「1」というのは、取得原価のこと(1=100%)を示していると個人的に考えています。(間違えてたらごめんなさい)
上の例でいうと、「1=100%(100万円)」を5年で償却したいわけです。
計算式で示すと下記の通りです。
1年目:100%(取得原価)×40%(償却率)=40%(減価償却費)
2年目:60%(償却後の資産)×40%=24%
※徐々に償却額が小さくなるのが定率法の特徴です
↓ ↓ ↓
1年目:100%÷5×200%=40%
2年目:(100%-40%=60%)÷5×200%=24%
÷5が分数なので、1/5×200%=0.4となります。
まとめ
この記事では、ITパスポートの過去問に出題されていた減価償却について詳しく解説しました。
テキストにも減価償却について記載があるかと思いますが、それほど詳しく書いてはいないことが多いのではないかと思います。
キノ
筆者が受験した際も減価償却は出題されてませんでした。
なので、他の出題頻度の高い問題を優先していただき、時間に余裕があれば減価償却の問題に取り組んでみてください。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。
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